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最近はSKE48ばっかり。

あささんが許しまへんやろな。

新次郎 なあ、千代。あんた…京都の女学校へ行かへんか?
千代 はい? せやけど。うちは学問より花嫁修業がしたいて!
新次郎 うん…。女学校いうのはな、なにも職業婦人目指す者が学ぶとこやあれへんのやで。大事なんは修身や礼節を重んじる教育やて文部省かて言うてます。その京都の女学校はなぁ上方一の名門で家事やお裁縫にとりわけ力入れてるらしい。わてはなぁ学なんかのうてもええお嫁さんにになってはるおなごはんがぎょうさんいてんのも知ってます。そやけどな、千代。あんたはまだ、そないなれるような器や覚悟もあれへん。
千代 何だす? 器て…。
新次郎 うん…。器いうのはなぁ、あんたのお母ちゃんがな決して人のいてへんとこで陰口言うたりせえへんお人や。
よの ああそうだすなぁ。そやけど、ただでけへんたちやいう事なんかも分かりまへんけどな。
新次郎 せやな。そやけどその器一つ取ってもわてはわてのお嫁さんをあんたのお母ちゃんを尊敬でけます。世間は広い。いつまでもこの大阪で愚痴こぼして暮らすより知らん土地で新しいもんの見方身に付けたらどないだす?
千代 ごちそうさんだした。
よの はぁ…。行ってしまいましたがな。

千代 はぁ…。何やねんな。お父ちゃんまでお母ちゃんの味方して。
はつ 千代ちゃん?
千代 あ…はつおばさん!
はつ おはようさん。まあ、すっかり娘さんらしゅうなって。ひょっとして学校行くとこ?
千代 へえ、そうだす。
はつ そう。そないかわいらし格好して行くんやね。

千代 はつおばさんはどないしはったんだす? 藍之助おにいちゃんに会いに?

藍之助は戸を開けて出て来て、はつの顔を見て逃げちゃった。

はつ 藍之助…。
千代 嫌や…! ひょっとしたら藍之助おにいちゃん家出してきはったん?

よの なあ新次郎。ほんまだすのか? 千代を京都の女学校に入れるて。
新次郎 へえ。調べたらええとこがありましたよってな。
よの そうかて京都なんて通える訳があらしまへん。千代はどこに住むことになりますのや?
新次郎 そら女学校の寄宿舎だす。おんなじ年頃の生徒さんと一緒にご飯食べて一緒に暮らすことになりますわな。
よの 千代が京都の寄宿舎に暮らすやなんて。そないなことが出来るわけがあらしまへん。なあ大阪にかて女学校はありますのやろ?
新次郎 せやけど千代はお母ちゃんが嫌いや嫌いやて言いながらもいっつもあさのこと気にして。それで何かいうたら怒ったりイライラしたりしてますやろ? あさかてお母ちゃんにはかなわへんでも、あさなりに精一杯心込めて育ててきましたのや。まあその気持ちがいつか伝わる時が来たらええのやけどな…。
よの そうかて、さみしいがな。
新次郎 今は京都まで汽車ですぐだす。休みになったらちゃっちゃと帰ってこられますし。お母ちゃんかて思いついたらひょいと遊びに行けますさかいな。
よの はぁ。

藍之助 はぁ。見つかってしもた。
うめ はれ? どないしましたんだすやろか?
新次郎 ようようお迎えが来ましたんやな。

あさ お姉ちゃん!
はつ あさ。手紙おおきにな。
あさ いいや。うちの取り越し苦労やろかとも思たんやけどな…。
はつ いいや。加野屋さんにお世話になってたやなんて、すんまへんだした。えらいご迷惑おかけしました。
新次郎 いやいやわてらはちょっともかましまへんのやで。せやなぁ藍之助。家出してきたんやったら家出してきたて初めから正直に言うてくれたらよかったのに。
藍之助 はい。すいません。せやけどおばあちゃんに相談したら、そらええ考えやて言われたのはほんまのことです。
はつ お母さんが?

藍之助 おばあちゃん。僕な、やっぱり大阪で商いの修行がしたいんや。
菊 あんたはほんまやったら大阪一の山王寺屋の跡取りやったんや。行ってきたらええ。

はつ お母さん、うちらにはそないなこと何にも…。
藍之助 学校でそろばんやら算術やらいろいろ学んだけど、やっぱりほんまの店で働くいうんは何より勉強になります。それになお母ちゃん。あさおばさんはお商売学べる教場まで作って…。
はつ 取りあえず今すぐ帰りましょ。
藍之助 え…?
はつ 一刻も早帰らなあかん。この忙しい時期に2人もこないなとこにいててどないしますのや? あんたは大事な男手やいうのに。
藍之助 嫌や…。僕はここで商い学びたいんです!
はつ いいや。帰りましょ。
藍之助 嫌や! 僕は一生あの山の中でみかんのために働くやなんてそんなん真平ごめんや!
はつ お母ちゃんには何言うてもかまへん。せやけど今の言葉、今度またお父ちゃんの前で言うたらお母ちゃんあんたを許さしまへんで。

うめ 失礼いたします。おあさ様。そろそろ始業の時や言うてへえさんが…。
あさ あーそやった。堪忍お姉ちゃん。今から銀行開けるとこで…。
はつ いいや。こっちこそ堪忍。こない朝の忙しい時に来て内輪もめなんかして…。
あさ うちこそ何も力になられへんで。
はつ あさ早行ってきて。
あさ 銀行開けたらすぐ戻って来ますさかい。ほな後で。ほら、旦那様も。
新次郎 へ? お…おう。ほんなら後でな。

藍之助 お母ちゃん。僕な、あさおばさんみたいに働きたい。何日か働いてみてよう分かった。僕はみかん作りよりやっぱりこないな仕事したいんです。
はつ 藍之助…。
藍之助 みかんのこと悪う言うてしもて堪忍。そやけど僕は大阪で働きたいんです。おばあちゃんかて昔からよう言うてはったやろ? うちも昔は山王寺屋いう両替屋やったんやて。僕かてその山王寺屋の子です。商人になりたいいう夢持ったかて…。
はつ 山王寺屋はもうとうの昔に終わってしもたんだす。

よの あの…堪忍だっせ、おはつさん。うちな部屋にお張り子さんの道具忘れて置いてしもて。

よの あんたなぁ、ほんま言うたらこの家で生まれましたんやで。
藍之助 え?
かの ほんにほんに。
はつ あの時はほんまにお世話になってしもて。
よの いいや。あの時も言いましたやろ。うちはおはつさんや藍之助ちゃんのことこの家のものや思てるて。
藍之助 それやったら僕、ここに住まわしてもろても…?
よの ああ、よろしで。千代もな京都行ってしまうかも分かれへんし藍之助ちゃんがうちにいてくれたらうれしいな。…て言いたいんやけどなぁ。あささんが許しまへんやろな。藍之助ちゃんが親だましてここへ来たいうことがはっきり分かってしもた以上、もうあんたのことは銀行には一歩も入れへん思います。なぁ?
うめ そうだすな。おあさ様が先代から引き継いで一番大事にしてきはったんは信用だすさかいなぁ。
藍之助 すいません。
よの いっぺん帰ってなぁ。ちゃんとお父ちゃんやおじいちゃんにゃお菊さんとよう話して。きちんと筋通して改めて出て来たらよろし。
はつ 大奥様。おおきにありがとうございます。

藍之助とはつが加野屋を出て行く時に、藍之助は振り返って加野屋を見て。

はつ 藍之助、早う。

あさ え? お姉ちゃん、もう帰ってしもたて?
うめ へえ。お家のお仕事があるさかいて。おあさ様にはくれぐれもお礼言うといてくれて言うたはりました。
あさ そんな…。
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