無料カウンター FX取引高世界第1位 バナー

お気に入りの映画

最近はSKE48ばっかり。

ちりとてちん 印象に残ったせりふ 23

第25週 大草若の小さな家

小草若兄さん、底抜けに~お疲れ様でした。
いやあの、皆さん。その、底抜けに~恐縮しますがな。
底抜けに~おもしろかったわ。小草若ちゃんの落語。
底抜けに~しびれましたがな。
子供らも底抜けに~喜んでましたわ。
底抜けに~。
無理に底抜けでしゃべらんでええがな。
父ちゃん。
わしも底抜け言いてみたいんや。

あ、あんな。あの会場に使うてた小浜市民会館。ずっと前にも行ったことあってな。うちの家族は母親もお囃子さんやったんで、ちっちゃい頃はいっつも地方公演に連れて行かれてました。あの会場を楽屋として使うてて。遠くから聞こえるおやじの落語とお母ちゃんの三味線を、聞くともなしに聞いてたんや。俺はそないして育ってきたんやいうことを急に思い出して。
落語は小草若兄さんのふるさとやったんですね。
ほれはようございましたね。あーあ。こねえして間違って落語がかかったさけえに、万事うまいこと行ったようで。おめでとうございました。
小次郎。いつまでそねしてすねとんのや。

ほやけど、ほんまに五木ひろしは来とったんやな。こねしてやなミュージックをスタートさしたら、五木ひろしがポンと出て来て、かっこよう歌う予定やったんや。それをな、高座で五木ひろしの悪口言うさけえに、怒って帰ってしもうたんやな。
え?
ほうやったんけ?
そんなわけないやな。
ほうや。誰も五木ひろしの影も形も見とらんのやさけえ。
ああ、びっくりした。あの落語ひろしに聞かれとったらえらいことやわ。
ほやさけえほんまに来とったんやな。
もうええ。
あーあ。ふるさと聞きたかったわ。

白い花咲くふるさとが日暮れりゃ恋しくなるばかり。
ああー誰にもふるさとがある。ふるさとがある。

ひろし。
本人の前で呼び捨てにすな。
何でひろしがここに?
実はあの、お箸のふるさと小浜のイベントに出るはずだったんですけれど、
え? ほんまやったんですか?
ええ。
見てみい。
控室のモニターで落語を拝見しまして、
え? あ、私の落語。
はい。じっくりと拝見しました。
すいませんでした。
いや、その後のはてなの茶碗で、「底抜けに~」。あれ受けましたね。いや、あまり盛り上がっていましたのでね。ここで出てったら野暮かなと思いまして、それでそっと会場を後にしたというわけなんです。
勝手に後にせんといてけえ。

昨日はありがとう。それだけ言いたくて。
エーコ。これ。あの時私が持った途端に、エーコが持っとった頃ほど輝かんようになってしまって。悔しなって海に捨てたんや。やっぱりこれはエーコに持っとって欲しい。キラキラ輝いとるエーコは私の憧れやでえ。


喜代美と小草若は大阪に帰って来て。

ほんまに、助かったんです。小草若兄さんがおってくれて。やっぱり小草若兄さんはすごいです。年季積んどる言うこともある思いますけど。それより何より、生まれながらの芸人さんなんやなあって思いました。
このまま終わらすわけには行かへん思うたやろ。あの時の師匠みたいに。
やっぱりお前や。草若の名前を受け継ぐのはお前しかおらへん。
俺は、親父みたいにはなられへんねんで。でも、新しい草若になりたい思うてんねん。小さい草若やのうて新しい草若に。
ほんまにあほですね。小草若兄さんは。底抜けにあほです。
四草。

あの、当たったんですか? 小次郎の宝くじ。

そう言うたら小次郎。
うん?
おめ、どねして五木ひろし呼んだんど?
うん。
ほやほや。ただ言うわけにはいかんやろ。
いやあ、ただで来てくれたんや。
ええ?

なっちゃん。ただいまあ。ごめんな。何日もほったらかしにして。おおー。おらん間にぎょうさん宝物増えとんなあ。やっぱり、なっちゃん。わしがおらんとあかんのやさけえのう。
小次郎。
うん?
何か私に隠してることない?
え?

実は分かっとんのや。宝くじのことやの。
ほんで。
え?
何に使うたん?
五木ひろしじゃ。あ、小浜の塗り箸のイベントに五木ひろしバーン呼んだろ思うて使うてしもうたん。すまん。なっちゃん。勝手なことして。ほんまは結婚式んやったのにの。

それで喧嘩になったんけ?
ほやないんやけどのう。それきりなっちゃん、口も聞いてくれへんし気まずうなってしもうてのう。


奈津子さんのところに喜代美のおばあちゃんがやって来て。

小次郎は?

何で言うてくれへんかったんかなっと思って。宝くじ当たったよって。けど、それは塗り箸のイベントのために使いたいねんって。何で言うてくれへんかったんかなっって思って。私が文句言うとでも思うたんですかね? そんな了見の狭い女やって思われてたんやろうか思ったら、何か腹立って。
そうやないと思いますけどな。

宝くじで200万当たった時、一瞬は「やったー、これでなっちゃんと結婚や」って。そう思うたんや。ほやけど、ほんまにこれでええんかな思うてのう。小浜では兄ちゃんや秀臣さんや、竹谷のおっさんが、何とか塗り箸のイベント盛り上げよう思うて走り回っとった。ほやのにわしは、200万貯めたら結婚したるいうてなっちゃんに言われて、宝くじ買いまくって。200万当てて。ほんで、それ持って結婚。「何じゃそれ?」 と思うてのう。
え、今更?
小浜の男として誇れることをせなあかん。
ほやさけえ、今更?
200万でイベント成功さして、ようやった小次郎。お前も小浜の男や言うて、兄ちゃんとか秀臣さんとか竹谷のおっさんに認めてもらいたい。そういう気持ちで一杯になってしもうてのう。

自分にはプライドなんかない。その方が生きやすいって、小次郎は言うてますけどな。ほんまは人一倍プライドの高い子や思いますで。ほやさけえ、あんな生き方しか出来ませんのや。宝くじで当たった200万で、五木ひろし呼んで。男上げて。それから、奈津子さんと結婚したかったんですやろな。本人が気付いてるかどうか分かりませんけどな。

その気持、奈津子さんに全部話したげて。
そんなあ。なっちゃんとの結婚よりも小浜の男としてのプライドを取ったっちゅう話しやど。
ほんでも、奈津子さんは聞きたい思うで。小次郎おじちゃんの口から、聞きたい思うで。


小次郎が奈津子さんの部屋に帰って来たら、

喜代美ちゃんのとこ行ってた?
うん。まあ。何で?
あんたが行くとこなんか他にあらへんやん。
なっちゃん。
何で帰って来た。
すまんかった。わし、あの。肉じゃが?
何で帰って来たんや。
うん。
これ持って迎えに行こう思うてたのに。

ビーコのお父さん、私に伝統若狭塗り箸を教えて下さい。お願いします。
清海は若狭塗り箸製作所を継ぐ決意をしてくれました。
しっかり継ぐためにしっかり分かりたいんです。若狭塗り箸のこともお父さんの歩いてきた道も。職人になるための修行やないのにこんなことお願いするの失礼かと思ったんですけど。
何が失礼なことあるかいな。わしは秀臣さんに9年も塗り箸教えてもろたんだで。

ありがとな、エーコちゃん。
え?
親父も喜んどると思う。親父から秀臣さん。秀臣さんからわし。わしからエーコちゃんに。親父の塗り箸は伝わっていっとんやさかいな。

あら、何それ?
ただの石ころです。子供の頃拾たんです。その頃はキラキラ輝いてきれいやったさけえ。けど、今は鈍くしか光らん。何か、今の自分を写しとるみたいで。
これが、光ったり光らんようになったりするんけ。
え?
ほんな切れかかった電球みたいに。光ったり光らんかったり。
いや、そういうことやなくて。
不思議やねえ。ほんでも大丈夫やわ。ここには卵の殻でも貝殻でも何でもきれいに光らす名人のお父ちゃんがおるんやでえ。きっとまた輝くわ。


エーコはあの石を金槌で砕いちゃった。

お母ちゃん。お母ちゃん。どねしたん?
お母ちゃん。
ごめん。何でもない。ただうれして。みんなが楽しそうに笑てる顔見てるだけで、うれして。喜代美も正平も、しっかり自分の仕事しとるし。小次郎さんも奈津子さんと幸せになってえ。お母さんはいつまでも元気でおってくれてえ。その上、お父ちゃんはこんな立派な賞もろてえ。お母ちゃん、こんなうれしいことないわ。

ビーコ。これ私が作っとるお箸。
へええ。
漆の下には、これで模様付けとん。
何これ?
あの石。きれいな模様になって出て来るように一生懸命やってみよう思うとる。ビーコに負けんように頑張ろう思うとる。
私に?
ビーコはもうきれいな模様が見えとるやな。子供の頃毎日ここに通って、落語聞いて笑うたことがビーコの模様になっとる。ほやさけえ今、落語やっとんやな。
ありがとう。
え?
ありがとうエーコ。

やっぱり草々兄さんの言っとったように、私らで常打ち小屋作りたい思うて。
え? 何でまた急に気変わったんや?
思い出したんです。落語と出会うた頃のこと。毎日毎日学校から帰ったらすぐランドセルも降ろさんと工房行って落語聞いてました。学校で嫌なことがあっても落ち込んどっても、落語聞いとったらいつの間にか笑うてました。それが落語家の仕事なんやと思います。この師匠の声みたいに、悩んだり落ち込んだりしとる人を私も元気づけたい。そういう場所を大阪に作りたい。そね思ったんです。
草原兄さん。
ああ、うん。
天狗芸能かて、みんなに笑いを届ける仕事をしとる会社です。ちゃんと説明したら分かってくれる思うんです。これは落語家が仕事を得るための小屋やなくて、毎日毎日ぎょうさんの人らにぎょうさん笑うてもらうためのものなんやって。ぎょうさんの人を笑わすことが出来て、初めて私もぎょうさん笑えるんやと思うんです。

出来ると思てるのか? お前らみたいなもん5、6人寄ったぐらいで草若が死ぬまでよう作らんかった常打ち小屋、出来ると思てるのか?
師匠が叶えられへんかった夢やからこそ、私らが叶えたいんです。いや、叶えなあかんのです。
おもろいなあ。出来るもんやったら、やってみ。


みんなが常打ち小屋のためにお金などを寄付してくれた。

これで常打ち小屋が建つゆうわけやないけど、有難いこっちゃな。何年かかってでも絶対に建てよう。
俺、売るわ。この家売るわ。いやそないしたらもうちょっと土地の安いとこに一軒の小屋建てれるぐらいの金は出来るやろ。
お前何言うてんねん。
いや俺、分かって。親父とお母ちゃんの気持ちが。残そうとしてくれてたんや。落語が出来る場所を。俺だけやない。草原兄さんにも、草々にも。四草にも。若狭にも。それから、会うたこともない小草々にも。そやから。
思い出の一杯詰まったこの家。売ることなんか出来んのですか?
出来へんよ。出来へんけど、そないせなあかんねんって。それが師匠の、親父の願いねんから。
最後に、最後にこの家で落語会やりませんか?
落語会。
はい。師匠の思い出が一杯詰まったこの家で。師匠に見守られて、落語がしたいんです。

開放された空間での落語会は、思いがけず気持ちのいいものでした。

これいつまで続くの?
なんか草若師匠が惜しんどるみたいですね。この家とお別れするのんを。

出来たやないか。誰でも気軽に入れて、噺家が腕競う常打ち小屋や。わしに頼らんでも出来たやないか。この時を待ってたんや。

その日の落語会は、いつまでもいつまでも続きました。


エーコちゃんの塗り箸も完成したみたい。
スポンサーサイト

PageTop