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ちりとてちん 印象に残ったせりふ 17

第19週 地獄の沙汰(さた)もネタ次第
落語言うたら古臭いとか年寄りの聞くもんやと思うとる人間が多いからな。こないして間口を広げてるわけや。まあ、いずれはこれも古典になるやろうけどな。
今のUFO落語が?
そや。
それはどうやろうな。まあ宇宙人はともかく、だんご3兄弟とか。お前の創作落語には普遍性がない。普遍性のないもんが残っていくのは難しい。それに何よりストーリーの完成度が低い。
何やと。
まあまあ、草々も。
語り継がれていく話にはそれだけの魅力と値打ちがあるねん。そんだけのレベルででかい口叩くな。
草々兄さん。
ほな、お前のやってること何やねん。草若師匠の芸風受け継いでるとか言われてるけど、俺に言わしたらただのコピーや。ものまねや。

お母ちゃん。何しとん?
見たら分かるやな。晩御飯の支度や。
ほんなことしとったら今日中に帰れんで。
帰らん。
え?
しばらくここにおるわ。
ここにおるって。いつまで?
分からん。
も、ほやけどね。
なあ、喜代美。
ん?
師匠な。草若師匠な。お母ちゃんの才能見抜いとんのかもしれんわ。
は?
何やいっつもお母ちゃんのこと、おもろいおもろい言うてくれてな。
いや、お母ちゃん。誰が見てもおもろいさけえ。
お母ちゃんも真剣に考えてみよう思うのや。
え、何を?
落語家になることをや。

みんなに聞いてもらいたい話があってな。実は、常打ち小屋作りに乗り出そう思ってんのや。
常打ち小屋?
大阪に落語の常打ち小屋作りたいんや。

師匠。
うん。
失礼ですけど、まだ懲りてはらへんのですか? あの時かて慌てて作ろうとして失敗しはったやないですか。
四草。
ほんまのことです。
ほんまやから言うて速攻で口に出すな。

師匠。
はい。
入院しなれ。そねして下さい。お願いします。
奥さん。言いましたやろ。私、やらなあかんことがありますねん。
怖いんですやろ。何かやっとらんと怖いさけえ、そね次々動き回ってんやな。
かないまへんな。奥さんには。

「その道中の陽気なこと」言うフレーズが良く出て来ますんや。上方落語には。
ああ。
ま、それをきっかけに陽気なお囃子が入る。愛宕山で野掛けに行くときも、貧乏長屋の連中が花見に行くときも。死んで地獄に行くときも。「その道中の陽気なこと」って。おかしいおまっしゃろ。地獄八景亡者の戯れ言うのは、地獄の鬼やら閻魔はんやらを散々茶化した噺でんねん。昔の人の考えた地獄言うのは、ほんま楽しいとこです。何でそういうふうに考えたか、今やったらよう分かりますわ。死ぬのは怖いこっちゃない、地獄は楽しいとこや。そう思わな、ちょっとこれ、耐えられまへんで。まともに向き合うたら怖うて怖うて。奥さん、みっともない男やって思いはりますか?
いえ。
あの陽気なお囃子に送られて、地獄までの道中笑うて歩きたいんです。そやさかい、思い残すことのあらへんようにしたいんです。

まあ、なんぼ噺家が口から口へ伝えてもな。聞いてくれるもんがおらんかったらほんまの意味で伝わったことにならへんもんな。
そこが伝統芸能の難しいとこです。
究極の個人芸に見えて、実はまったく逆。聞く人が、笑う人がいて初めて落語になる。そやからお客さんが気軽に足運んでもらえる常打ち小屋がやっぱり必要なんです。
なるほどなあ。いや、ほんまスコーンと腑に落ちたわ。
師匠の受け売りでしょ。
バレたか。
何や。
やっぱり分からん。受け継いでいく。伝えていくいうことそね大事に思うとる師匠が、何で私にだけ創作落語をせい言うのか。失敗したと思うとるんやろうか。
え?
女の弟子なんか取るんやなかったって。それもこんなドン臭い、何の芸もない子って。
また妄想かいな。
自意識過剰や。師匠がお前のことばっかりあれこれ考えてるわけないやろ。
またお前そんなきつい言い方して。
けど四草の言うとおりや。師匠はもっと大きなこと考えてはるような気がするな。

師弟落語会さしたろ。
はい?
ほら、お前のとこにいてるやろ。なんちゅうか女の...
わ、若狭。
若狭、そや。若狭とお前とで、天狗座で師弟落語会さしたる言うてんねん。ほほう。女の落語家か、おもろいな。客が思うたるやろ。また落語ブームが来るかも分からへんやないか。そん時には常打ち小屋のことかて考えたろやないか。

何でですか? 創作、創作って。そんなに私は古典に向いとらんのですか? そら私かて、いろんなことに挑戦してみたいです。ほやけど私があれこれ出来る人間やないゆうこと、師匠かて分かっとんなるやないですか。師匠は、私に落語をやめさせたいんですか? 師匠。
大丈夫ですか?
続けさしたいんや。
え?
お前に、落語、続けさしたいんや。若狭。お前も実感してると思うけど、女が落語やっていこう思うたら男やるより大変や。男と同じことやってたら、食べていかれん。特に、若狭みたいな不器用な子はな。他の4人と違うて、古典を教えてやるだけではあかん。この道で生きていけるすべを身に付けさせなあかん。そない思うてるんや。
師匠。師匠大丈夫ですか。

時間がないんや。草若師匠にはもう、時間がないんや。

師匠。
何で黙ってたんや。何でや?
小草若。
言うたらお前止めるやろ。常打ち小屋のことなんか忘れて、治療に専念せえって医者みたいなこと言うやろうが。
まだ懲りてへんのか。あん時かて、常打ち小屋のためにお母ちゃん放ったらかしにして、寂しい思いさしたやろ。
ひとし。すまんなあ。

私、もう嫌なんです。小さい時、大好きやったおじいちゃんが亡くなって、もうほんまに涙でダムが出来るぐらい泣いて泣いて、泣き倒したんです。もう二度と、あんな思いしたくないんです。大事な人が、大好きな人が遠くへ行ってしまうのは嫌なんです。
若狭。お前、ほんまにアホやなあ。どないすんねんな。俺より先に死ぬか? 俺は先に死ぬのが敵わん人間やったらお前が先に死ぬしかないやないか。で、残った俺にそのかなわん思いさせる気か? こんなもんはな、順番や。お前より先に、俺が死ぬのは道理や。消えて行く命を愛おしむ気持ちが、だんだん今生きてる自分の命を愛おしむ気持ちに変わって行く。そしたら、今よりもっともっと、もっと一生懸命に生きられる。もっと笑ろうて生きられる。若狭。俺を笑わしてくれ。お前の創作落語で俺を笑わしてくれ。
やってみます。創作落語、やってみます。

お母ちゃん、私やっぱり出来ん。こんな時に落語作るやなんて。笑える噺作るやなんて。

正太郎ちゃんは若狭塗り箸の職人でした。
存じてます。
小浜は塗り箸の町やゆうても、昔ながら伝統塗り箸作る職人はだんだん減っとります。正典も、もう一人おった弟子も離れてしもうて。ほやさけえ、あの人は一人で、伝統若狭塗り箸しょっとる気になっとった思います。朝から晩まで塗り箸作っとって、ある日突然、倒れました。すぐに病院運ばれて、いっぺんは目覚ましてくれましたけど、その日のうちにのうなってしまいました。何で気い付いてやれんかったんやろともう、長いこと後悔しました。師匠。男言うもんはそれぞれ、譲れんもん抱えて生きてますねんやろなあ。ほやけど、たまには気にかけたって下さい。何よりも、師匠の命を大事や思うてるもんらのこと。何やうち、正太郎ちゃんに言えんかったこと、今更ぶちまけてるみたいやな。正太郎ちゃんは知らんままでしたけど、結局正典が塗り箸継いでくれました。そね躍起にならんでも師匠が伝えたいもんは、師匠を大事に思っとるもんらがちゃんと受け継ぎますやな。立派な弟子が5人もおるんやでえ。

若狭。
はい。
お前、ほんまにおもろいなあ。お前と話してると、おもろい。
若狭。お前は落語の世界から抜け出してきたような子や。おもろい家族に囲まれて、バタバタバタバタ生きてきた子や。そんな子のおしゃべりはおもろい。お前がちっちゃい時から見てきたこと、聞いてきたこと、お前しょうもないと思うとるかもしれないけど、それおもろいねんでん。それはほんまにおもろいんやで。
若狭。それがお前の創作落語やな。な、お前の宝物や。大事にしいや。

いろいろと検査を受けて、数日後に師匠は一日だけの外泊を許されて、家に帰って来ました。

草若師匠は私ら5人に稽古を付けてやりたい、もういっぺんだけ、もういっぺんだけでいいから自宅の稽古場で落語の稽古を付けてやりたい。そない言うて外泊許可をもらい、一時間以上もある大ネタ、地獄八景亡者の戯れを演じはりました。それが実質、草若師匠の最後の高座になりました。
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