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お気に入りの映画

最近はSKE48ばっかり。

ちりとてちんカルタ

Twitterでちりとてちんカルタを作ってる人がいて、真似して作ってみたら難しい。「る、れ、ろ」なんて出来ないよ。

あ ああ、誰にもふるさとがある。
い いつまで師匠をほったらかしにするつもりなんや、お前は。
う うろうろうろうろ、三年かかってやっとここにたどり着きました。
え エーコという光がビーコという影を作る。
お お母ちゃんみたいになりたくないの。

か 頑張っても頑張っても、エーコにはおいつかれへん。
き 喜代美が幸せになれますように。
く 鞍馬会長。
け 稽古してたんやな、三年間ずーっと。お前が崇徳院をな。
こ これが師匠なんや。俺の会いたい、もう一遍会いたい師匠なんや。

さ 最初の三年は酒と煙草は厳禁や。
し 正平、あんたは賢い子や。よう冷静にもの見てなあ。
す ずっと待ってたんです。師匠がそない言うてくれはんの。
せ 瀬を早み岩にせかるる滝川の 割れても末に逢はんとぞ思う。
そ 草々さんを見てるのが辛いから、小浜に帰って来たのに。

た ただし、その前に、お母ちゃんを倒していき。
ち ちっとは、親の気持ち考え。
つ 次は相手と向き合わんとな。
て 天災や。
と 年が明けたら、もう草々さんて呼ばれへんようになる。

な 何や不思議やけんど、亡くなった父が私や喜代美の進むべき道を照らしてくれとる気がするんです。
に 人間生きてたら予想もつかへんことが起きるもんなの。
ぬ 塗り箸。
ね 年季明け。
の 野掛け。

は 初高座祝いにおかみさんに買うてもろたんや。
ひ ひどいやん。何でエーコが炒めとんの?
ふ 二つの石は象徴や。誰が主役で、誰が脇役かの。
へ 平兵衛。
ほ 本人もたんぽぽみたいな人やったな。おかみさんがいてくれはるだけで、何や気持ちが明るうなった。

ま まち針刺さってたぞ。
み 身内の不幸でも何でも笑いに変えるようでないとあかんって。
む 向いてたゆうことやないでしょうか?
め 夫婦落語会。
も もうお母ちゃん。

や 闇討ちされたらかなわんな。年季明けや。
ゆ UFO落語。
よ よう分からんけど、そんなんいっぺん断るのがお約束と違うん?

ら 落語は、みんなのもんです。
り 柳眉さんの辻占茶屋聞いとる時の草々さん。すごい悔しそうでした。
る 
れ 
ろ 

わ 私やないんです。あの恐竜の化石見つけたん、、私やなくてビーコなんです。

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ちりとてちん 印象に残ったせりふ 24

最終週 笑う一門には福来る

売らんかてええんと違いますか?
ん?
売ってしまわんかて、この家改装して常打ち小屋に出来るんと違いますか?
そうですね。改装やったらまるまる建てるほどお金かかりませんしね。
な?

良かった。これからもずっと師匠のそばで落語が出来ますね。
な?

エーコは若狭塗り箸製作所を継いで、社長さんになっております。

けどほんま、エーコちゃんとこの寄付があらへんかったら、この小屋建ったかどうか分からへんで。
寄付やなんて、広告費です。
またまたご謙遜を。
笑いもお箸も毎日欠かせんものやで、製作所のコンセプトとしてもぴったりなんです。
けどエーコちゃん、ほんまにありがとう。
ありがとう。
ありがとうございます。
せーの。エーコ、エーコ、エーコ。エーコちゃーん。
ばんざーい、ばんざーい、ばんざーい。
ビーコ。また妬んどんと違うやろね。
え?
エーコばっかり人気もんやとか言うてねとーっと妬まんといてよ。
そんなこと思うとらんわ。
どうかなあ、ビーコのことやさけえ。
そもそも自分のほうが人気もんや思うとることが厚かましいわ。
何よそれ?
私はもうキャリア13年の人気落語家なんやでえ。
キャリア13年の人気落語家が扇子と手ぬぐい忘れて高座に上がるやろうか。
こないだはたまたま。
はあ、たまたま。
たまたま。
お前らはほんまに喜六と清八みたいやな。

この何年か後から私とエーコはほんまに喜六と清八みたいに二人で旅行に出かけるようになりました。草々兄さんのことも子供の頃のことも、アホみたいに大笑いしながら話しています。

正典くんの塗り箸は製作所の、いや小浜の看板ですよ。
看板け。
ええ。看板。
けど、わしがこねして塗り箸作り続けられるのは、秀臣さんとこと提携させてもろたおかげや。それまでは自分がええ塗り箸作って、人に喜んでもらうことばっかり考えとった。ほやけんど、秀臣さんとこと仕事しとるうちに、ほやないと思うようになった。わしはみんなに支えられて塗り箸作っとんのや。いやあ、ほんまに秀臣さんとこには親子二代にわたって世話になりっぱなしやの。
はい?
あ、ほれ。喜代美らが作っとるあの常打ち小屋に、清海ちゃんが寄付を申し出てくれて。
ああ。いや、地方の少企業にしてみればかえって大きな宣伝ですよ。
いや、ほやけんど。
うちの清海も助かってるんです。「同姓同名の和田喜代美ちゃんが転校して来た」ってうちの清海から聞いた時、すぐにピンと来ましたよ。正典くんとこのお嬢さんだって。ほら、きよみって名前。昔よく行った三丁町の舞妓さんのきよみちゃんから。
しーっ。糸子に知られたらエライことで。
やっぱりそうでしたか。いや、僕もそうなんですよ。静には内緒ですよ。

何?
ほんまのこと言うて、最近よう分からんねん。
何が?
ほんまに私は、師匠の落語を伝えて行く仕事が出来とんのやろうかって。
ええ?
創作落語を作って高座にかけて、お客さんに笑うてもろって。それはほんまに楽しいねんけど、何かこう違う気して。気のせいやと思うんやけどね。

今思えば、それは気のせいではなく予感でした。

蜩か。
もう夏も終わりでっせ。
うん。若狭、どないした?
蜩。ひぐらし亭いうのどうですか?

落語が好きで好きで、一日中落語をやっとるような人達が集まって、毎日毎日落語をやっとる小屋が出来上がる。そねしてだんだん、みんなが自然に集まってみんなが笑ってくれるという場所になっていく思うんです。
はあ、なるほどねえ。

おお、これはもしかして?
頼まれてたひぐらし亭オープンの日に配るお弁当や。


喜代美は味見をしたら気持ち悪くなって。

若狭、どないやったんや? どっか悪い言われたんか?
違うねんって。お目出度やって。
3ヶ月やそうです。
若狭、ありがとう。
草々、若狭。おめでとう。

若狭。お母さんの言いはるとおりにせえ。
草々兄さん。
俺かてな、お前とお腹の子どもが一番大事や。

ビーコ。
順ちゃん。
おめでとう。
順ちゃん。
体調どう?
順ちゃーん。
もう、何やー。

そらあ残念やな。
残念いうか、ほんまショックやでえ。
そんなに出たかったんけ?
そらあ。私なりに今まで落語頑張ってきたんやでえ。ひぐらし亭の初日言うたら今までの総決算みたいな晴れ舞台になるはずやったんや。こんな時に兄さんらと一緒に高座に上がれんで一人隅のほうで見とるだけやなんて。いざという時に役立たん。相変わらず不器用で間の悪い脇役のビーコのままや。あの頃のままや。また私は上がりたいステージに上がられん。高座からお客さんの笑顔を見ることが出来ん。こんなんやったらおじいちゃんとの約束守られん。ぎょうさん笑うて生きて行くことが出来ん。
ほんまにトラウマになっとんやな。あの学園祭が。ほんでも、大丈夫や。伊達に13年修行積んどらんのやでえ。似たような経験したかて同じ結果にはならんはずや。きっと何か、新しいもんが見えてくるはずやでえ。

久し振りに、そして史上最大の順ちゃんの大予言が炸裂していたのですが、私はまだその意味を理解しておりませんでした。

上方落語悲願の常打ち小屋、ひぐらし亭。オープンの日を迎えました。が、


みんな気を遣って、喜代美は手伝うことがない。

ほんまにきれいですね。
ん?
お弁当。色取り取りやし凝っとるし。
喜んでもらえたら嬉しいわ。
あたしの学生時代のお弁当は、もう酷かったでえ。茶色いんです。毎日毎日。基本が昨夜の残りやでえ。しかも汁もん入れたりするさけえ、汁がこぼれて包がべちょべちょになったりして。
子どもに持たせる弁当言うたら毎日のこっちゃさかいなあ。このお弁当は言うたら今日だけ作ったらええのやよって、そらなんぼでもきれいな凝ったもんが出来るわ。けど、毎日いうことなったらそうはいかへん。早う確実に、しかも子供の体のこと考えて作らなあかんねんから。毎日続けるいうのは、それだけですごいことやで。

失礼します。お母ちゃん?
んん、喜代美。
何しとん?
何っておしゃべりや。
若狭、おもろいお母ちゃんやな。
あんたうろうろしとって大丈夫なんけ?
お弁当配るだけやさけえ。これ、今日のお祝いのお弁当です。

失くなって初めて分かるお箸のありがたみですやな。うちの主人、若狭塗箸の職人やでえ、いっつも言うとんのです。お箸は食卓の脇役やって。ほやけど、どんなごちそうが並んどってもお箸がないと食べられん。お箸はなくてはならん名脇役なんやって。
なるほど含蓄がおまんなあ。

若狭ちゃん、やって見る?
え?
照明。オープニングの挨拶だけでも。せっかくの晴れの日に参加できへん言うて残念がってるってお父さんから聞いてる。大丈夫やって。簡単な照明だけやし。気分悪うなったら僕がすぐ変わるから。
ありがとう。

自分でも掴みきれない思いがこみ上げてきていました。

ええ、お姉ちゃん出番決まったんけ。
うん。体調も落ち着いてきたし言うて。
いつや。
10月11日やって。
ほう。10月11日言うたら、
正太郎ちゃんの命日ですやな。
はい。

その10月11日を迎えました。


喜代美は子どもの頃に毎日聞いてた愛宕山に挑戦して。

本日は、私の最後の高座にお付き合いいただきましてありがとうございました。

何をいきなりまた訳の分からんことを言うてんねんお前は。今までの修行全部無駄にする気か?
まあまあ草々、落ち着け。若狭。今の愛宕山、ほんまに良かったで。
ありがとうございます。
特別な思い入れのある話やったんやろうけど、あれだけ出来たら大したもんや。それだけに解せへんのや。もったいないやないか。
ほやかって見つけてしもうたんですもん。
何をや?
自分のなりたいもの。
喜代美。
糸子、勝手に楽屋に。
あんた何を考えとんのや。お母ちゃんは許さんで。ちゃんと修行続けなれ。
お母ちゃん。
何やの?
ごめんな。
謝るくらいやったら、初めからおかしなことを言いなんな。
違う。そのことやない。小浜出る時、ひどいこと言うてごめんな。
(ここにおりなさい。
いやや。
何でや?
お母ちゃんみたいになりたくないの。)

ごめんなさい。あの頃私、お母ちゃんいう仕事はしょうもない思うとった。自分のやりたいことなんか後回しで、家族の心配ばっかりして。世話焼いて、人のことで笑たり泣いたり。何てつまらん脇役人生や思うとった。けど、ほやなかったんやね。お母ちゃんは太陽みたいにいつでも周りを照らしてくれとる。毎日毎日。それがどんだけ素敵なことか分かったんや。どんだけ豊かな人生か分かったんや。お母ちゃん、ありがとう。ずっとずっとお腹におる時から大事に大事にしてくれて、ありがとう。
何を言うとんのやな、この子は。この子は。
私、お母ちゃんみたいになりたい。お母ちゃんみたいになりたいんや。

ビーコ。
順ちゃん。
うわあ。いよいよいう感じやね。
それを言わんとってよ。
え?
ほやかって痛いんやろ?
痛いよ。
いややあ。
大丈夫。子育てはじめたら出産の痛みなんか大したことなかった思うようになるわ。思うようにならん生きもん抱えて、毎日毎日やってかなあかんねんで。そらもう痛いのかゆいの言うとられんわ。
どねしよう。
ほんな覚悟もせんとお母ちゃんになるって言うたんかいな。
いや、覚悟はしとってんけど。いざとなったらやっぱり。
しっかりしい。あんたはお腹の子供のお母ちゃんだけやなくて、どんどん増えていく草々さんのお弟子さんのお母ちゃんにもならんとあかんのやろ。ほして、ひぐらし亭に出入りする落語家みんなのお母ちゃんになるってそう決めたんやろ。ほな、もうどねしようは禁止や。
はい。
うん。

順ちゃんに出会わへんかったら私の人生はどないなってたんやろうか。想像するだけでぞっとします。

小草若兄さんはついに草若を襲名しました。

奈津子さんはその後に、ほんまにこの本を出版します。本は大して売れず小次郎おじちゃんが道端で叩き売るハメになるのですが、なぜかそんな生活を楽しんでいるようです。

で、何で落ち込んでんの?
今日は、小草若兄さんの草若襲名やったのに、直接お祝いできんかったでえ。

襲名おめでとうございます。
いやいやほんまエーコちゃんのおかげやね。
え?
ほら、あん時小浜でお箸のイベント呼んでくれへんかったら、こないな日迎えることは出来へんかった。あ、えーっと。底抜けに、おおきに。
あ、どういたしまして。

小草若いえ草若兄さんとエーコはこの後なんだかちょっといい感じになっていくのですが、なかなか結婚には至りません。

草原兄さんは長年の功績が認められ、ついに大阪府から権威ある賞をもらいました。

何と四草兄さんは何の疑問も持たずにこの子を引き取って、育て上げたのです。四草兄さん曰く、迷いこんで来たもんはしゃあないのだそうです。

草々兄さんはその後も落語一筋で、弟子入り志願者が後を絶ちません。小草々くんはいつか子の字が取れるようにと、腕を磨いております。しょうもない嘘をつく癖は治りませんが。

正平は務めていた小学校から勝山の恐竜博物館への移動が叶い、後に留学して学芸員の資格を取りました。

おばあちゃんはいくつになっても好奇心旺盛です。

お父ちゃんは工房の仕事の他、若狭塗り箸製作所へ出向いて、若い人たちに仕事を教えております。そして、おじいちゃんに負けない伝統若狭塗り箸の名人になっていきます。

そして。

何?
喜代美、そろそろ心構えしときなれよ。
何が?
2、3日うちに生まれれるでね。
そんなこと分かりますの?
においで分かる。

お母ちゃんは何も変わることなく、毎日毎日お母ちゃんをやっております。

ほんなわけないやな。
お母ちゃんの言うことは聞いときなれ。

私がお母ちゃんになって20年近こうなった今も、ずっとずっとお母ちゃんはお母ちゃんです。

また師匠の愛宕山聞いてんのか。
草々兄さん。
そんなに好きやったらやめへんかったらええのに。嘘や嘘や嘘や。子供が無事に生まれたら、この子とそれからひぐらし亭のお母ちゃんとして、しっかり働いてくれ。師匠の落語、一緒に伝えていこう。
はい。

おかしな人間たちの陽気な道中はまだまだ続いていきますが、お時間です。またいつの日かお付き合いを願います。

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ちりとてちん 印象に残ったせりふ 23

第25週 大草若の小さな家

小草若兄さん、底抜けに~お疲れ様でした。
いやあの、皆さん。その、底抜けに~恐縮しますがな。
底抜けに~おもしろかったわ。小草若ちゃんの落語。
底抜けに~しびれましたがな。
子供らも底抜けに~喜んでましたわ。
底抜けに~。
無理に底抜けでしゃべらんでええがな。
父ちゃん。
わしも底抜け言いてみたいんや。

あ、あんな。あの会場に使うてた小浜市民会館。ずっと前にも行ったことあってな。うちの家族は母親もお囃子さんやったんで、ちっちゃい頃はいっつも地方公演に連れて行かれてました。あの会場を楽屋として使うてて。遠くから聞こえるおやじの落語とお母ちゃんの三味線を、聞くともなしに聞いてたんや。俺はそないして育ってきたんやいうことを急に思い出して。
落語は小草若兄さんのふるさとやったんですね。
ほれはようございましたね。あーあ。こねえして間違って落語がかかったさけえに、万事うまいこと行ったようで。おめでとうございました。
小次郎。いつまでそねしてすねとんのや。

ほやけど、ほんまに五木ひろしは来とったんやな。こねしてやなミュージックをスタートさしたら、五木ひろしがポンと出て来て、かっこよう歌う予定やったんや。それをな、高座で五木ひろしの悪口言うさけえに、怒って帰ってしもうたんやな。
え?
ほうやったんけ?
そんなわけないやな。
ほうや。誰も五木ひろしの影も形も見とらんのやさけえ。
ああ、びっくりした。あの落語ひろしに聞かれとったらえらいことやわ。
ほやさけえほんまに来とったんやな。
もうええ。
あーあ。ふるさと聞きたかったわ。

白い花咲くふるさとが日暮れりゃ恋しくなるばかり。
ああー誰にもふるさとがある。ふるさとがある。

ひろし。
本人の前で呼び捨てにすな。
何でひろしがここに?
実はあの、お箸のふるさと小浜のイベントに出るはずだったんですけれど、
え? ほんまやったんですか?
ええ。
見てみい。
控室のモニターで落語を拝見しまして、
え? あ、私の落語。
はい。じっくりと拝見しました。
すいませんでした。
いや、その後のはてなの茶碗で、「底抜けに~」。あれ受けましたね。いや、あまり盛り上がっていましたのでね。ここで出てったら野暮かなと思いまして、それでそっと会場を後にしたというわけなんです。
勝手に後にせんといてけえ。

昨日はありがとう。それだけ言いたくて。
エーコ。これ。あの時私が持った途端に、エーコが持っとった頃ほど輝かんようになってしまって。悔しなって海に捨てたんや。やっぱりこれはエーコに持っとって欲しい。キラキラ輝いとるエーコは私の憧れやでえ。


喜代美と小草若は大阪に帰って来て。

ほんまに、助かったんです。小草若兄さんがおってくれて。やっぱり小草若兄さんはすごいです。年季積んどる言うこともある思いますけど。それより何より、生まれながらの芸人さんなんやなあって思いました。
このまま終わらすわけには行かへん思うたやろ。あの時の師匠みたいに。
やっぱりお前や。草若の名前を受け継ぐのはお前しかおらへん。
俺は、親父みたいにはなられへんねんで。でも、新しい草若になりたい思うてんねん。小さい草若やのうて新しい草若に。
ほんまにあほですね。小草若兄さんは。底抜けにあほです。
四草。

あの、当たったんですか? 小次郎の宝くじ。

そう言うたら小次郎。
うん?
おめ、どねして五木ひろし呼んだんど?
うん。
ほやほや。ただ言うわけにはいかんやろ。
いやあ、ただで来てくれたんや。
ええ?

なっちゃん。ただいまあ。ごめんな。何日もほったらかしにして。おおー。おらん間にぎょうさん宝物増えとんなあ。やっぱり、なっちゃん。わしがおらんとあかんのやさけえのう。
小次郎。
うん?
何か私に隠してることない?
え?

実は分かっとんのや。宝くじのことやの。
ほんで。
え?
何に使うたん?
五木ひろしじゃ。あ、小浜の塗り箸のイベントに五木ひろしバーン呼んだろ思うて使うてしもうたん。すまん。なっちゃん。勝手なことして。ほんまは結婚式んやったのにの。

それで喧嘩になったんけ?
ほやないんやけどのう。それきりなっちゃん、口も聞いてくれへんし気まずうなってしもうてのう。


奈津子さんのところに喜代美のおばあちゃんがやって来て。

小次郎は?

何で言うてくれへんかったんかなっと思って。宝くじ当たったよって。けど、それは塗り箸のイベントのために使いたいねんって。何で言うてくれへんかったんかなっって思って。私が文句言うとでも思うたんですかね? そんな了見の狭い女やって思われてたんやろうか思ったら、何か腹立って。
そうやないと思いますけどな。

宝くじで200万当たった時、一瞬は「やったー、これでなっちゃんと結婚や」って。そう思うたんや。ほやけど、ほんまにこれでええんかな思うてのう。小浜では兄ちゃんや秀臣さんや、竹谷のおっさんが、何とか塗り箸のイベント盛り上げよう思うて走り回っとった。ほやのにわしは、200万貯めたら結婚したるいうてなっちゃんに言われて、宝くじ買いまくって。200万当てて。ほんで、それ持って結婚。「何じゃそれ?」 と思うてのう。
え、今更?
小浜の男として誇れることをせなあかん。
ほやさけえ、今更?
200万でイベント成功さして、ようやった小次郎。お前も小浜の男や言うて、兄ちゃんとか秀臣さんとか竹谷のおっさんに認めてもらいたい。そういう気持ちで一杯になってしもうてのう。

自分にはプライドなんかない。その方が生きやすいって、小次郎は言うてますけどな。ほんまは人一倍プライドの高い子や思いますで。ほやさけえ、あんな生き方しか出来ませんのや。宝くじで当たった200万で、五木ひろし呼んで。男上げて。それから、奈津子さんと結婚したかったんですやろな。本人が気付いてるかどうか分かりませんけどな。

その気持、奈津子さんに全部話したげて。
そんなあ。なっちゃんとの結婚よりも小浜の男としてのプライドを取ったっちゅう話しやど。
ほんでも、奈津子さんは聞きたい思うで。小次郎おじちゃんの口から、聞きたい思うで。


小次郎が奈津子さんの部屋に帰って来たら、

喜代美ちゃんのとこ行ってた?
うん。まあ。何で?
あんたが行くとこなんか他にあらへんやん。
なっちゃん。
何で帰って来た。
すまんかった。わし、あの。肉じゃが?
何で帰って来たんや。
うん。
これ持って迎えに行こう思うてたのに。

ビーコのお父さん、私に伝統若狭塗り箸を教えて下さい。お願いします。
清海は若狭塗り箸製作所を継ぐ決意をしてくれました。
しっかり継ぐためにしっかり分かりたいんです。若狭塗り箸のこともお父さんの歩いてきた道も。職人になるための修行やないのにこんなことお願いするの失礼かと思ったんですけど。
何が失礼なことあるかいな。わしは秀臣さんに9年も塗り箸教えてもろたんだで。

ありがとな、エーコちゃん。
え?
親父も喜んどると思う。親父から秀臣さん。秀臣さんからわし。わしからエーコちゃんに。親父の塗り箸は伝わっていっとんやさかいな。

あら、何それ?
ただの石ころです。子供の頃拾たんです。その頃はキラキラ輝いてきれいやったさけえ。けど、今は鈍くしか光らん。何か、今の自分を写しとるみたいで。
これが、光ったり光らんようになったりするんけ。
え?
ほんな切れかかった電球みたいに。光ったり光らんかったり。
いや、そういうことやなくて。
不思議やねえ。ほんでも大丈夫やわ。ここには卵の殻でも貝殻でも何でもきれいに光らす名人のお父ちゃんがおるんやでえ。きっとまた輝くわ。


エーコはあの石を金槌で砕いちゃった。

お母ちゃん。お母ちゃん。どねしたん?
お母ちゃん。
ごめん。何でもない。ただうれして。みんなが楽しそうに笑てる顔見てるだけで、うれして。喜代美も正平も、しっかり自分の仕事しとるし。小次郎さんも奈津子さんと幸せになってえ。お母さんはいつまでも元気でおってくれてえ。その上、お父ちゃんはこんな立派な賞もろてえ。お母ちゃん、こんなうれしいことないわ。

ビーコ。これ私が作っとるお箸。
へええ。
漆の下には、これで模様付けとん。
何これ?
あの石。きれいな模様になって出て来るように一生懸命やってみよう思うとる。ビーコに負けんように頑張ろう思うとる。
私に?
ビーコはもうきれいな模様が見えとるやな。子供の頃毎日ここに通って、落語聞いて笑うたことがビーコの模様になっとる。ほやさけえ今、落語やっとんやな。
ありがとう。
え?
ありがとうエーコ。

やっぱり草々兄さんの言っとったように、私らで常打ち小屋作りたい思うて。
え? 何でまた急に気変わったんや?
思い出したんです。落語と出会うた頃のこと。毎日毎日学校から帰ったらすぐランドセルも降ろさんと工房行って落語聞いてました。学校で嫌なことがあっても落ち込んどっても、落語聞いとったらいつの間にか笑うてました。それが落語家の仕事なんやと思います。この師匠の声みたいに、悩んだり落ち込んだりしとる人を私も元気づけたい。そういう場所を大阪に作りたい。そね思ったんです。
草原兄さん。
ああ、うん。
天狗芸能かて、みんなに笑いを届ける仕事をしとる会社です。ちゃんと説明したら分かってくれる思うんです。これは落語家が仕事を得るための小屋やなくて、毎日毎日ぎょうさんの人らにぎょうさん笑うてもらうためのものなんやって。ぎょうさんの人を笑わすことが出来て、初めて私もぎょうさん笑えるんやと思うんです。

出来ると思てるのか? お前らみたいなもん5、6人寄ったぐらいで草若が死ぬまでよう作らんかった常打ち小屋、出来ると思てるのか?
師匠が叶えられへんかった夢やからこそ、私らが叶えたいんです。いや、叶えなあかんのです。
おもろいなあ。出来るもんやったら、やってみ。


みんなが常打ち小屋のためにお金などを寄付してくれた。

これで常打ち小屋が建つゆうわけやないけど、有難いこっちゃな。何年かかってでも絶対に建てよう。
俺、売るわ。この家売るわ。いやそないしたらもうちょっと土地の安いとこに一軒の小屋建てれるぐらいの金は出来るやろ。
お前何言うてんねん。
いや俺、分かって。親父とお母ちゃんの気持ちが。残そうとしてくれてたんや。落語が出来る場所を。俺だけやない。草原兄さんにも、草々にも。四草にも。若狭にも。それから、会うたこともない小草々にも。そやから。
思い出の一杯詰まったこの家。売ることなんか出来んのですか?
出来へんよ。出来へんけど、そないせなあかんねんって。それが師匠の、親父の願いねんから。
最後に、最後にこの家で落語会やりませんか?
落語会。
はい。師匠の思い出が一杯詰まったこの家で。師匠に見守られて、落語がしたいんです。

開放された空間での落語会は、思いがけず気持ちのいいものでした。

これいつまで続くの?
なんか草若師匠が惜しんどるみたいですね。この家とお別れするのんを。

出来たやないか。誰でも気軽に入れて、噺家が腕競う常打ち小屋や。わしに頼らんでも出来たやないか。この時を待ってたんや。

その日の落語会は、いつまでもいつまでも続きました。


エーコちゃんの塗り箸も完成したみたい。

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ちりとてちん 印象に残ったせりふ 22

第24週 蛇の道はヘビー

大阪を離れる磯七さんのお膳立てで木曽山くんは小草々の名前でついに初高座に上がりました。私も自分のことのように嬉しくてたまりませんでした。ところが、

トリを務めるはずの小草若兄さんは急病で出られなくて、代わりに草々兄さんがトリを務めた。

小草若兄さんの「はてなの茶碗」が聞けんかったのは残念やけど、またいつか大阪戻って来る時の楽しみができた言うて、そね言うてました。

登校拒否の子供みたいな真似して。もうやめてしもうたらどないですか? 落語も、何もかも。しんどいんでしょ、もう? 草若の名前に潰されそうになってはるんでしょ? 楽になったらええやないですか? 誰も文句言いませんよ。
誰がやめるか。負け犬のままで、終わってたまるか。

博物館には教員枠いうのがあるらしい。学校の先生が希望して、移動になったら恐竜博物館で働けるんや。教職免許は持っとんやな?
あ、うん。
それやったらそういう手もあんど。
何で?
そんなことぐらい調べたら分かる。知らんかったんか?
うん。気つかんかった。
他愛無いのう。ほやさけえ最初からお父さんに相談したら良かったんや。
ほんまやな。

あ、小草若。
何や。
暮れになあ、久し振りに一門で寝床寄せやるかいう話あんねん。
12月14日です。
12月の14日。
うん。8年前師匠が高座に復帰しはった記念の日や。お前トリで出。
俺が何で?
前かてトリ務める予定やったやないか。客席凍らせてしもうて、それで師匠が出て来はったんやろ。今度こそ立派にトリ努め。それが師匠への何よりの供養や。
今度こそ「はてなの茶碗」聞かせて下さい。
まかしといてな。トリやろ。バッチリ務めるやんけ。
おう。

ところが、

ほんまにひとしは、しゃあないなあ。
高座すっぽかすとこだけ師匠に似て、どないすんねん。
もうええやないですか。小草若兄さんなんかどうなったって。親が草若師匠やいうだけで、噺家として何の才能もあらへんねんから。

それっきり、小草若兄さんは姿を消してしまいました。そして、草若師匠の三回忌を迎えても小草若兄さんは帰って来ませんでした。

あの~、会長。常打ち小屋はうちの師匠の悲願です。どうか。
知らんがな。
必要なんです。お客さんが毎日足運べる。落語聞いて笑ろうてくれはる、そんな場所が上方には必要なんです。
草若と同じこと言いよるな。青臭い一門やで。まあ、もういっぺん考えたってもええで。そのためにはどでかい花火打上げんとな。
花火?
襲名披露や。草若の名前を襲名して、披露興行すんねん。
襲名。
誰がですか?
お前らの中の誰かや。誰でもかまへん。話題になったらそれでええねん。そしたら、常打ち小屋かてビジネスに乗せやすいやろ。
小草若です。草若の名前を継ぐのは小草若です。
草々兄さん。
おらんもんにどないして継がせんねん。ま、こないなったら筆頭弟子が継ぐのが当たり前なんやろうけど。お前らで決めたらええわ。ま、そういうこっちゃ。

草々。お前が襲名せ。
それやったら僕に襲名さして下さい。
ふざけんな。誰がお前なんかに継がすか。
おい、草々。
やっぱり小草若が継ぐべきもんなんや。それが、師匠が望んではることなんや。
師匠がそない言うてはんの兄さん聞いたんですか?
小草若には落語しかないんや。
僕は絶対認めませんから。
四草兄さん。

正平は小浜第二小学校の先生になりました。

奈津子さんは、どね思いますか?
ん、何が?
何で小草若兄さんはおらんようになってしもうたんや思いますか?
喜代美ちゃんのせいやないの?
なるほど。私の。あ、私の?
うん。
どういうこと?
ほら、喜代美ちゃん年季明けの時、小草若のマンションに住むって言うてたやん。結局そのまま草々さんと結婚してしもうたけど。
おおおお、そうやそうや。
あの後、小草若さんからネチネチ嫌味言われたりせえへんかった?
ほんなこと。小草若兄さんはそんな人やありません。
どうやろうな。
え?
ほんまは文句の一つも言いたかったんと違う?
けど、相手は草々さんやもんなあ。中学の時からのライバルやったんでしょ?
なんかそうみたいやで。
そら文句言うとうても言われへんわなあ。自分が惨めになるだけやもん。
黙って頑張ってみたけど、やっぱり落語でも草々くんには敵わへんかった。
とうとう限界に来て失踪。
可哀想に。
喜代美ちゃん、案外肉じゃが女よりたち悪いかも。
このマンション女。

いつもありがとうございます。
あ、んーん。こっちがお邪魔さしてもうてんのやさかい。
あの~、これ。このお仏壇の代金まだ払い終わっとらんのですよね?
おおきに。けど、これは受け取られへん。この代金はひとしに払うてもらう。いつか、きっとな。

四草は俺が説得する。そやからお前が草若を継げ。こんなことでまた徒然亭が天狗芸能にいてられんようになってみい。師匠も小草若も、誰も浮かばれへん。

それは鴻池の犬という話でした。いつか小草若兄さんが草々兄さんを思って稽古していたその話を、今度は草々兄さんが稽古していました。

その頃、当の小草若兄さんが小浜の町に現れたことを、まだ誰も知りませんでした。


小草若は魚屋食堂で焼き鯖を頼んで。

俺も焼き鯖職人にでもなろうかな?
は?
いや、旅の途中で小銭稼ぐためにガソリンスタンドとかでバイトしたんやけど、もう一つ合わへんのやこれが。
何言うとんねん。お前は落語家やろ。
いただきます。
うん。
前よりずっと旨なったな。
え、ほんまけ?
良かったな。自分に向いてるもんが見つかって。

はい。徒然亭です。
ビーコ。あたし。
順ちゃん。どねしたん?
あんな。今さっき友春さんから聞いてんけど。
うん。
昨夜、うちの店に小草若ちゃんが来たんやて。
え?
ごめんな。すぐ言わなあかんことやのに。
ごめんな。そこまで頭回らんかったで。
ほんで?
分からん。まだその辺ふらふらしとるかもしれんけど。
あ、ありがとう順ちゃん。あ、また電話する。ほしたら。

あ、どないしはったんですか?
小草若兄さんが見つかったって。
ええ? ああ、どこに?
小浜。すぐ行ってくるで。草々兄さん帰って来たら言うといて。
嫌です。
よろしく。
いいえ。

小草若兄さん。
若狭。
こんなとこで何しとんですか?
何って晩御飯やん。ここは安うて一番美味しいしな。
ほういうことやなくて。みんな心配しとってですよ。ずっとどこ行っとったんですか?
いや、どこって。あっちゃふらふら~。こっちゃふらふら~って。
はあ。ほんで小浜に何しに来たんですか?
あ、ちょっと野口友春に会いたなって。
友春さんに?
お父ちゃんと残りもん捌きに行っとる。
ああ。
ここまでわざわざ迎えに来てくれたんありがたいけど、大阪には帰らへんで。
ほんなこと言わんといて下さい。今、一門で草若の襲名が問題になっとんです。
え?
小草若兄さんがおらんようになってしもうて、鞍馬会長が常打ち小屋のこと考えてほしかったら、誰か襲名させ言うとんです。ほやけど、やっぱり小草若兄さんが継ぐのが一番や思いますで。戻って来て下さい。お願いします。
どうでもええ。俺には関係のないこっちゃ。
ほんな。
もう充分や。入門してから二十年以上かかって、やっと分かった。俺は落語家やないねんって。
何言うとんですか?
たまたま親が落語家やって、何とのうなっただけで。別に落語なんか興味なかったんやって。
嘘ですよね? 小草若兄さん言うとったやないですか。

(タレント活動かて落語守っていくには大事なことやで。)

あんなこと、ほんまに落語が好きやなかったら言えんと思います。覚えてへんな。俺のことはもうほっといてくれ。


草々兄さんは小浜まで小草若を迎えに行こうとするけど、四草は、
草々兄さん行かへんほうがいいです。
何やと。
行かんといて下さい。
どけ。
行くな。
何やねん。
あんなアホのこと思うてんのやったら行くな言うてるねん。

草若師匠とおかみさんの間に生まれて、可愛がられて育ったくせに。草々兄さんへのコンプレックスかなんか知らんけど、ろくに稽古もせんと。落語は下手やし頭は悪いし、何でこんな奴が兄弟子なんやろうって。夕陽に溶けて無くなってしまえばええのにって。ずっと思うてました。どっか行ってしもうてせいせいしてんのに、何で皆して探そうとしたり、見つけ出して草若襲名させようとしたりするんですか。もうほっといたって下さい。
自分が襲名したいからとちゃうかったんやな。すまん。
けど、それやったら草々師匠が襲名したかて構へんのや...
死んでまうわ。この上、草々兄さんに草若師匠の名前まで取られてしもうたら小草若兄さんはほんまに死んでまう。

草々が襲名したらええやん。そないしてくれ。な。
ほんなこと思うてないですよね。草々兄さんだけには継いでほしいない。それが本音ですよね。いつか話してくれたやないですか。ずっとイライシャ・グレイの気持ちやったって。
そうや。今でもそうや。おれはイライシャ・グレイや。特許の出願がブラハム・ベルより2時間遅れて発明者として名前を残すことが出来へんかった間の悪い男や。追いかけても追いかけても、永遠にこの2時間の差は縮まらへんねん。
ほんなことないです。
若狭かてその方がええやろ。自分の旦那が草若になった方が嬉しいやろ?
それは。
帰ったってもええで。
え?
大阪に。
ほんまですか?
その代わり草々と別れてくれ。
いや。あの。ええと。
嘘やん嘘やん。いけずで言うただけや。ごめんな、喜代美ちゃん。

俺はな、いつかなあいつがな草若師匠の名前を継ぐもんやと思うててん。それをあいつも望んでると思うててん。そやから頑張れ頑張れって、もっと頑張れって言い続けてきてん。でも、もしかしたら追い込んでたんかも分からへん。二十年以上もずっと小草若のこと傷付けてたのかも分からへんねん。
かも分からへんやなくて、そうなんですよ。
よっしゃ、今夜は特別に俺の秘密を聞かしたろ。
何ですか?
あんまり興味ないんですけど。
ええから聞け。
はいはい。
ほんまのこと言うて俺は、鞍馬会長が襲名の話持ち出した時に、「来た」って思うた。筆頭弟子の俺が襲名できる思うた。
いや、けど兄さん自分で「俺は継がへん」って。
言われるのが怖かった。何で草原。一番弟子か知らんけど、何であんな地味なキャリアが長いだけが取り柄の典型的な板の上の芸人の草原が草若やねん。草々やら四草の方がよっぽど華あるわって。影でこそこそ言われんのが怖かった。
いやそんな。兄さん一番の芸達者やないですか。
さあ、そう言われんのは嬉しいけどな。とにかく俺は、そう言われんのが怖うて「草々に継げ」って言うた。言うてからくよくよくよくよ悩んだ。そらなあ、こんだけバラバラな人間が集まって同じ道志してたら、お互い腹ん中でいろんなこと考えんで。それがしんどい。けど、それがおもろい。違うか?
そうですね。

ごめんください。
エーコ? どねしたん?
帰っとるってお兄ちゃんから聞いて。
え? 私。
これ。
ああ、エーコが企画したんやてね。
手伝うてくれんかな? ゲストが弱て人が集まっとらんみたいやねん。徒然亭若狭やったら小浜の人もみんまよう知っとるで。あかんやろか?
え? いや。私でええの? 私なんかで良かったら。
ありがとう。詳しいことはお父さんから聞いて。ほしたら。
うん。

小草若兄さんのために何かできへんやろかって考え始めていました。


魚屋食堂でエーコは小草若と再会。小草若は落語をやめると聞いて、

え、あ。ほしたらどねするんですか?
さあな。探すわ。もっと俺に向いてるもん。あ、今自分何やってんの?
あ、今は家の仕事を手伝うてます。最初は嫌でした。大学も、キャスターの仕事も、中途半端に終わってしもうて。やりたいこと見つけてやり通しとるビーコ見とったら、何て自分ってかっこ悪いんやろうって、悔しくて。ほんでも。これ、うちで作っとるお箸です。お箸は口に入るもんやでえ、安全性が大事です。ほやさけえうちのお箸に使うとる塗料は安全やという証明書を発行してもろて。安全性アピールするようにしたら、ゆっくりやけど売上は回復しとんです。キャスター時代の経験も少しは役に立っとるみたいです。良かったら遊びに来て下さいね。
え、ああ。あのイベントか?
今の私の仕事を見てもらいたいでえ。
あ、うん。

おばあちゃん。
うん?
奪っただけやったんやろうか? 草々兄さんとあたし二人して小草若兄さんのふるさとを。奪っただけやったんやろうか?
いいや。誰にでもふるさとはある。帰るとこがある。誰にも奪うことの出来ん小草若ちゃんのふるさとが。きっとあるはずや。


喜代美はイベント会場で、小草若兄さんに帰って来てほしいというメッセージを込めた創作落語をしようとしてたのに、いろいろトラブルがあって(笑) イベント会場は、草若師匠が小浜で落語をやった時に幼少時代の小草若が終わるのを待ってた場所だった。

落語家たるもん、アクシデントも笑いに変えて自分に注目させなあかんのですが、まだまだ未熟な私でございました。

小草若兄さんのふるさとは、やっぱり落語でした。

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ちりとてちん 印象に残ったせりふ 21

第23週 終わりよければ滑ってよし

草々。
はい。
木曽山くんの初高座、もう決まったんかいな?
初高座? あ、考えても見ませんでした。

磯村屋さん、ほんまにありがとうございます。おい、木曽山。10月の散髪屋さんの会が、お前の初高座や。
分かりました。ありがとうございます。
出てくれるか。そら、ありがたい。

正平。お前一体、何がしたいのや。
正平は、外国の大学に行きたいんや。
ほうなんか?
僕は、恐竜の研究がしたい思うとった。ほんでも、博士号を取ろう思うたら留学せなあかん。それはめちゃくちゃお金のかかることやでえ。
ほやさけえ就職もせんと小次郎の真似しよった言うんこ。何ぞそれは。
お父ちゃん。
それやったらそれでなんぼでもやりようあるやろうが。ちゃんと就職して、お金貯めて留学するなり。お父ちゃんに相談するなり。
ほんなことしたかって、どうもならんことぐらい正平かって...
それでもや。そら結局はどうにもならんかったかもしれん。そんでも、一言相談ぐらいしてもええやろうが。
ほやなあ。ごめんな。ごめんな、お父ちゃん。


外に出ていこうとする正平を、おばあちゃんが止めて。

なんぼ外側取り繕うても、中まで変わりませんなあ。こねして衣装まで付けんと、はみ出すことも出来んのやさけえなあ。正平。あんたは昔から変わらん。よう冷静にもの見て、気遣いのできる、賢て優しい子や。ほやさけえ、おばあちゃん心配やったんや。塗り箸継いでくれる思うて喜んどる正典の顔見たら、よう言い出さんかったんやな。お父ちゃんがっかりさしてまで、我を通したかって、それもまた苦しいんやなあ。あんたゆう子は。

木曽山。
はい。
今日から初高座に向けての稽古に入るからな。
はい。
兄さんらも来てくれる言うとんなりました。ありがたいですね。みんなが気にかけてくれとんなって。
はい。
磯村屋さんは大事なお客さんや。草若師匠の代からお世話になってる。磯村屋さんのためにも、しっかりやらなあかんで。
はい。
うん。

木曽山くんの「はい」が、嘘の「はい」やと言うことに、私はまるで気が付いておりませんでした。

どない? あの胡散臭い弟子。
胡散臭いって。まあ、しょうもない嘘ばっかり付いてますけど。あ、木曽山くん10月に初高座控えとんです。
ええ、それ早う言うてよ。おかみさんの喜代美にとっても一大イベントやん。いやあ、どないなんねんのやろうな。何かやらかしてくれへんかな。喜代美ちゃんの初高座の時みたいに。
まあ、木曽山くんは私と違うてしっかりしとるさけえ、ほんなことは。ん。いや、なんか今日様子がおかしかったんです。
おかしいって、どんな風に?
何や、急に落語が下手になってしまって。前はりゅうちょうに喋っとったのに。
怪しい。
え?
絶対何か企んでる。
いやいやいやいや。初高座は特別やさけえ。なんぼ木曽山くんでも緊張するんや思います。
そんなことやろか?

お姉ちゃん。
正平。どねしたん?
ごめんお姉ちゃん。しばらく泊めてもろうてもええ?

お母さん。
ん?
うち、分かっとったんです。ほんまは正平が留学したかったいうこと。やっぱり正平は気い遣うとるし。遠慮しとるいうこと。ほやけどお金のことはどうしようもなくて。正典さんには納得行くように塗り箸作って欲しいいう気持ちもあったもんですさけえ。結局正平に甘えてしもうたんです。親のくせして子供に甘えてしもたんです。えらいことしてしもうた。

糸子さん。
はい。
子育て言うたら、そんなもんですやな。誰かて子供が生まれて初めて親になるんやし。やり直したい思うたかて、出来んのやさけえ。そね思うようにいかんで当たり前ですがな。
お母さん。小次郎さん育てなった人が言うたら説得力あるわ。
糸子さん。
すいません。
ほんでもまだまだ分かりませんわな。そら正平は、今は苦しいかも分からん。ほんでもこの先、塗り箸職人になるにしても恐竜博士になるにしても。
恐竜博士。
すんなりなれるよりかずっとええように、うちは思いますけどな。

糸子さん。あんた、正典と結婚してからゆうもん。人にお茶の一杯も入れてもらうことなく、ずーっと家族のために働いてきたんですやな。大丈夫。うん。そういうあんた見て、生きてきたんやさけえ、ちょっとぐらい甘えても正平は恨んだりしませんがな。

そうか。いや、もしかしたらそうやないかなあとは思うとったんや。
そうやないかって?
いや、ずっと前に正平に相談されたことがあったんや。やっぱり、諦めてへんかったんやな。心の底では。
あたし、何も知らんかった。
お前には言わんといてくれって言われてたんや。お前がテレビの仕事で忙しい時でな。余計な心配かけたくない言うて。
正平は、よう私のこと見てくれはりました。その時一番言うてほしいこと言うてくれたり。自分でも分からん気持ち、そっと教えてくれたり。ほやのに私。私はお姉ちゃんなのに、正平の気持ち一個も気い付かんと。あたしって、ずるいお姉ちゃんやな。ほんまは私がもっと家のこととか考えなあかんのに。あたしがやりたいことやってるさけえ、正平はやりたいこと諦めなあかんって。
もうやめ。そんなこと言うたらあかん。わがままでもなんぼずるくてもや。やりたいことやってるお姉ちゃんが、正平は大好きやねんぞ。


小草若が「はてなの茶碗」の稽古をしてると、


下手くそ。やめてまえ。
四草。
僕とちゃいますよ。平兵衛です。
ほんまかあ? ほなおまえどない思うてんねん?
何がですか?
決まってるやろ、俺の落語や。
まあまさに、「はてなの茶碗」って感じですね。
ほんまか?
今の小草若兄さんが演じたかて、一文の値打ちもない。仮に草々兄さんが演じたら、まあ千両とは言いませんけど金の取れる芸にはなるでしょう。はてなの茶碗に拘ってんのは草々兄さんが手出してへん大ネタやからでしょう? 愛宕山やったら比べられてまうから。そんなせこい算段ばっかりしてるから、いつまで経っても小さい草若のままなんですよ。

木曽山くん。どねしたん? 良かったら話して。私はおかみさんなんやでえ。こういう時のためにおるんやで。
怖いんです。高座に上がるのが。
ほやけど落研でやっとったんやな。
あれは嘘です。落研出身なんかやないんです。レパートリーが15、6あるっていうのも嘘です。家で独りで鉄砲勇助ばっかりやってた、独り落研なんです。無理です。高座に上がって、大勢の前で喋るやなんて。
ほやさけえ急に下手な振りしたりもたもたして稽古さぼっとったん?
アホかお前は。
草々兄さん。

失敗したかてええねんよ。あたしかって初高座は大失敗やったんやから。
あれなあ。
あれはひどかった。
見てんの辛かったもんな。
ほんでも、兄さんらも師匠も家族も、みんなは見放さんとあたしのこと辛抱強う見守ってくれた。初高座で大失敗した「ちりとてちん」。天狗座の一門会でみんなの前でやれた時、ほんまに諦めんでよかったな...
おいおい、何自分の世界に入ってんのお前。
あ、すいません。木曽山くん。一緒に頑張ろう。これからは一人で抱えんと、何でも私に言うて。私は、おかみさんなんやで。

喜代美ちゃん。自分に酔うてる場合やないで。
え?
怪しい。絶対怪しいで、木曽山。
奈津子さん。
今更、落研は嘘やったやなんて。高座上がるのが怖いんです、やなんて怪しいにも程があるわ。
奈津子さん。ほら木曽山くんは嘘付きです。ほやけど私段々分かるようになったんです。嘘付いとる時と、ほうやない時。目見たら分かるんです。
ええ?
これが弟子とおかみさんの関係ゆうもんなんですね。ああ。

しかしこれが勘違いも甚だしかったのです。

木曽山くん。
はい。
僕からこんなこと言うのおかしいかもしれんけど、頑張ってな。落語家になりたくてなりたくて、草々さんに弟子入りしたんやろ。人前で落語するゆうのは、そら勇気いる思うけど。でも、頑張って乗り越えて、初高座に出て欲しい。お姉ちゃんな、ええおかみさんになろう思うて一生懸命なんや。ほやさけえお姉ちゃんのためにも、木曽山くんには勇気出して欲しいんや。
正平さんって、僕の一番苦手なタイプや。真っ直ぐな目して。嘘付くかいがないゆうんかな。
木曽山くん。
嘘なんですよ。
何が?
僕が話した、初高座に出たないわけ。
どういうこと?
ええですか? これから話すことは全てほんまです。正平さんだけに言うんですから、みんなには秘密ですよ。
うん。
僕は、ほんまに落研出身やし、鉄砲勇助の他にもレパートリーはあるし。高座に上がるのが怖いなんてことはありません。
そしたら何で?
嫌なんです。初高座が、散髪屋の落語会やなんて。せっかくプロとしてデビューすんのに、しょぼすぎると思いませんか?
おい木曽山。
お兄さん、落ち着いて。


喜代美ちゃんは木曽山くんを殴ってしまう。

来て。謝って。磯村屋さんに謝って。
だって、何で散髪屋さんに僕の初高座、決められなあかんのですか? 落語すんのは僕ですよ。座布団に座って誰の力も借りんと一人で、20分喋るんですよ。初高座の場所ぐらい自分で選ばしてくれたかてええやないですか。
木曽山。
落語は一人でやるもんと違う。みんなに支えられてやるもんや。磯村屋さんは徒然亭を愛してくれとる。上方落語を愛してくれとる。それを、散髪屋の落語会はしょぼいから出たないやなんて、そんな人間徒然亭におって欲しくない。スポットライト浴びて、舞台の真ん中におるもんが主役や思うたら大間違いや。それが分からんのやったら落語なんかやめてしまい。

ついこないだまであんたかて分かってへんかったんと違うの? と言いたくもなりますが、心の底から出た言葉でした。

お姉ちゃん。
やってもうた。
え?
せっかく弟子とおかみさんとしてええ関係作っていけそうやったのに。叩いてしもうた。

磯村屋さん。申し訳ありません。木曽山はまだ高座に上がるだけの修行が出来てませんでした。私がそれを見抜くことが出来ませんでした。本当に申し訳ありませんでした。
草々。もう顔上げて。なあ。顔上げ。
申し訳ありませんでした。
草々。こら、顔上げて。

ええか、木曽山。落語は何百年もの間、何百、何千もの噺家によって口から口へと伝えてきたもんや。けど、噺家だけやないんや。小屋に足運んでくれはるお客さん、落語を聞いて笑ろうてくれはるお客さんらが、今の世に伝えてきてくれはったもんなんや。それを絶対に忘れたらあかん。


もう一度草々師匠、若狭、木曽山くんが磯村屋さんにお願いして、木曽山くんは散髪屋の落語会で初高座が出来ることに。

あ、木曽山くん。やっぱり嘘は程々にしといた方がええで。木曽山くんがほんまの気持ち打ち明けたさけえ、お姉ちゃんかてほんまの気持ちでぶつかれたんや。そうせんと、ええ関係は作られん思うで。
やっぱり苦手やな。正平さんは。ありがとうございました。

正平。ごめんな。お母ちゃん長いこと、あんたに甘えてしもうて。
僕こそ、長いことよう甘えんでごめん。小浜帰って、お父ちゃんとよう話してみるわ。

さて、いよいよ木曽山くんの初高座の日でございます。

お前の芸名は、徒然亭小草々や。
へ?


若狭が木曽山くんの初高座祝に用意した箸は、お父さんじゃなくて正平が作ったものだった。

ありがとうございます。正平さんが言うてはりました。「これは失敗作や。小手先の器用さだけで、どうにか体裁が整っただけや」って。小手先で器用に落語やったらあかん。大勢の人に支えられて、初めて本物の落語が出来るようになる。自分一人でやってる気になった時には、これ見てそのこと思い出せいうことですね。
うん。まあ、ほういうことや。
ほんまかいな。

おかみさんいうのは不思議なもんやな。弟子の初高座が受けただけでなんでこないに嬉しそうなんやろうか。草々兄さんは私の横顔を見ながらそんなことを思っていたそうです。

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